遺言の基礎知識(2)
どんな内容でもいいの?

基本的にはどんな内容でも書くことが出来ます。しかしながらその全てが法的に有効となるわけではなく具体的には以下のような項目について法的効力を有することとなります。
- 子供の認知
- 未成年者の後見人の指定
- 財産の遺贈、寄付
- 相続分の指定及び指定の委託
- 遺産分割方法の指定及び指定の委託
- 遺産分割の禁止
- 特別受益の持ち戻しの免除
- 相続人の廃除
- 遺言執行者の指定
- 祭祀承継者の指定
上記に掲げた項目以外に書いた内容は無効となる訳ではなく、あくまでも法的効力を有さないだけですので、ご自身の思いを明確にしておくために遺言書に書き記す意義は大いにあります。
遺贈って?
遺贈とは遺言によって遺産の全部または一部を無償、もしくは一定の負担を付して贈与することをいいます。この場合財産をあげる人、すなわち遺言書を書く人のことを「遺贈者」、財産を貰う人のことを「受遺者」と呼びます。
この遺贈という法律行為は遺贈者の一方的な意思表示なので、受遺者が「いりません」と拒否することも自由です。
遺贈にはどんな種類があるの?
遺贈には以下の3つの種類があります。
| 包括遺贈 | 例えば、「全財産の2分の1を長男に遺贈する」というように、財産の全部または財産の全体に対する一定割合を示して贈与することをいいます。この場合にはプラスの財産のみならずマイナスの財産も引き継ぐこととなります。実際にどの財産を相続するのかは遺産分割協議で決めます。 |
|---|---|
| 特定遺贈 | 例えば、「○○にある土地を長男に、○○の株式は二男に遺贈する」というように、財産のうち特定の目的物を示して贈与することをいいます。物を特定しなければならないので誤った記載や判断に迷うような記載をしないよう注意しなければなりません。 |
| 負担付遺贈 | 例えば、「○○にある土地を長男に遺贈する。ただし、その土地に係る借入金を返済しなければならない。」というように、一定の義務を付すことをいいます。受遺者はその負担が嫌なら遺贈を拒否することが出来ます。 |
遺留分に注意!
相続の世界には遺留分というものが存在します。
遺留分とは、被相続人が有していた財産の一定割合について、一定の法定相続人が最低限の取り分を相続する権利が約束されている制度をいいます。
被相続人は、生前贈与や遺言により自己の財産を自由に処分することが出来るのが原則ですがこの遺留分制度によって処分の自由が一定限度で制限されていることになります。
具体的な財産の一定割合と一定の法定相続人は次の通りです。
| 遺留分権者 | 総体的遺留分 | 個別的遺留分 |
|---|---|---|
| 配偶者と子 (代襲相続人を含む) |
相続財産の2分の1 | ×各法定相続分 |
| 配偶者のみ | 総体的遺留分全部 | |
| 子(代襲相続人を含む)のみ | ×各法定相続分 | |
| 配偶者と直系尊属 (父母、祖父母) |
×各法定相続分 | |
| 直系尊属(父母、祖父母)のみ | 相続財産の3分の1 | ×各法定相続分 |
[例] 配偶者と子Aと子Bが相続人の場合(被相続人の財産は1億円とします)
配偶者と子の組み合わせですから総体的遺留分は相続財産の2分の1。
よって、総体的遺留分=1億円×2分の1=5,000万円となります。
次に個別的遺留分を計算します。
配偶者の個別的遺留分
5,000万円×法定相続分(この場合は2分の1)=2,500万円
子Aと子Bの個別的遺留分
5,000万円×法定相続分(この場合は4分の1)=1,250万円
結果として配偶者は最低2,500万円、子AとBは最低1,250万円の財産を相続する権利があるということになります。
表を見てわかる通り、兄弟姉妹には遺留分はありません。これを意味するのは・・・。
例えば被相続人の配偶者Aとお兄さんBが法定相続人だったとしましょう。
被相続人が次のケース1、ケース2のような遺言書を作っていました。それぞれどうなるでしょうか。
【ケース1】遺言書の内容が「全財産を配偶者Aに遺贈する」であった場合
この場合、お兄さんBには遺留分がありませんからお兄さんBは何も言うことが出来す、結果として何も貰えないということになります。
【ケース2】遺言書の内容が「全財産をお兄さんBに遺贈する」であった場合
この場合、配偶者Aには全財産の2分の1に遺留分がありますから「財産の半分は渡して下さい。」と反論することが出来ます。
このような行為を遺留分減殺請求と呼びます。なお、この遺留分減殺請求は遺留分権者が相続の開始を知り、かつ減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から1年間、あるいは相続開始時から10年間行使しない時は時効により消滅します。






